1. エモーションホイールとは何か
1-1. 感情を「見える化」するための地図
私たちは日々、多くの感情を抱えながら生活しています。うれしさ、驚き、戸惑い、落ち込み、焦り……。ところが、それらを正確に言葉にすることは、意外と難しいものです。そこで役に立つ考え方のひとつが、エモーションホイールです。
エモーションホイールは、心理学者ロバート・プルチックが提案した「プルチックの感情の輪」がよく知られており、感情の種類やそのグラデーションを整理したものを指します。怒り、悲しみ、喜び、恐れといった大まかな感情を中心に置き、強さやニュアンスの違いによって、外側に向かって細かい感情が広がっていくイメージで描かれます。
イライラの裏に「疲れ」や「不安」が潜んでいたり、楽しさの中に少しの緊張が混ざっていたりするように、感情は一言では説明しにくいものです。エモーションホイールは、そんな複雑な感情をざっくりと配置し、「今の自分はどのあたりにいるのか」を指さしやすくするための地図だと考えると分かりやすいでしょう。
1-2. 感情を言葉にすると、少し距離がとれる
感情をなんとなく抱えているだけだと、その中から抜け出しにくくなることがあります。「なぜこんなに落ち着かないのだろう」と感じたとき、その気持ちを言葉にしてみるだけで、少しだけ距離を置いて眺めることができます。
エモーションホイールは、正解を教えてくれる道具ではありません。「ぴったりこれだ」と当てはめる必要もなく、「このあたりの気持ちに近いかもしれない」とおおよそを指すだけで十分です。それでも、自分の心にそっと光を当てるきっかけになり、「今の自分」に気づきやすくなるという意味で、日常に取り入れやすい考え方だと言えます。
2. 日常の「気持ちの揺れ」と音との関係
2-1. 生活のリズムといっしょに揺れる感情
歳を重ねれば重ねるほど、仕事、家事、子育て、介護、地域活動など、日々の役割は増えていきます。同じ一日の中でも、朝は仕事モード、昼はバタバタ、夕方には疲れが出て、夜はようやく一息つける、というように、心の状態は大きく揺れ動きます。
そんな生活の中で、音楽やラジオ、ポッドキャストなどを「聞きながら過ごす」時間はすっかり当たり前になりました。通勤の電車や車の中、キッチンで手を動かしているとき、在宅ワークの合間、夜のウォーキング。イヤホンは、気づけば心の動きと重なり合う存在になっています。
2-2. 静かすぎても、うるさすぎても落ち着かない
音は、感情を直接的に変えるスイッチではありませんが、そのときの気持ちを支える背景のような役割を持つことがあります。静かな環境が落ち着く日もあれば、静かすぎてかえって考えごとが増えてしまう日もあります。にぎやかな音が元気をくれる時もあれば、頭の中まで騒がしくなってしまうこともあるでしょう。
大事なのは、「自分はどんな音の状態だと楽に呼吸できるか」を知っておくことです。少し疲れている日は静かな音楽が心地よく、やる気がほしい日はリズムのある曲が背中を押してくれる。そうした音との相性を知ることは、エモーションホイールで感情の位置を確かめることと同じくらい、自分の心を理解するうえで参考になります。
3. 自分の感情パターンと「聴こえ方」を結びつけてみる
3-1. イライラしているときに欲しい音、避けたい音
イライラや焦りの感情が強いとき、完全に外音を遮断してしまうと、考えが堂々巡りになってしまう人がいます。そういうとき、生活音や人の気配がうっすらと聞こえている方が、「世界とつながっている感じ」がして落ち着くケースもあります。
一方で、同じイライラでも、外からの情報や音をいったん減らした方が楽になる人もいます。エモーションホイールで自分の今のポジションをなんとなくイメージし、「こういう気持ちの時は、こういう聴き方が楽」という自分なりのパターンを知っておくと、音環境の選び方が少し楽になります。
3-2. 集中したいときの「遮断」と「開放」
集中したいとき、完全な静寂が向いている人もいれば、適度な環境音やBGMがあるほうが集中しやすい人もいます。エモーションホイール上で、期待や興味、好奇心に近いゾーンにいるときは、多少のざわめきがむしろ心地よく感じられることもあります。
「集中=静かでなければならない」と決めつけるのではなく、「自分が集中しやすい音の状態はどれか」を試しながら探ってみることが大切です。その日の感情によっても、心地よい聴こえ方は変わっていきます。
3-3. イヤホンは感情を変える道具ではないが、選択肢にはなる
イヤホンそのものが感情を直接整えるわけではありませんが、「今の自分にとってどんな聴こえ方が楽か」を選ぶための手がかりにはなります。エモーションホイールで感情の位置をおおまかに捉え、気持ちに合う音との距離感を意識してみる。そうした視点をひとつ持っておくだけでも、イヤホンの使い方は少し変わっていきます。
4. 感情に寄り添うリスニング環境という考え方
エモーションホイールが示すように、私たちの感情は一つの方向ではなく、日によって大きく揺れ動きます。同じ“疲れ”でも、不安に寄っている日もあれば、怒り寄りの日もある。その揺らぎに合わせて、心地よい音との距離感も自然と変わります。
Shokzが提案してきた、耳をふさがないオープンイヤーイヤホン製品の数々は、この“感情の揺らぎ”と相性が良い側面があります。耳を塞がないことで生活音が入り、世界とのつながりを保ちながら自分の音も楽しめる──その開放性が、感情の幅を狭めすぎない環境づくりにつながることがあります。
たとえば、不安や緊張が強い“恐れ”寄りのゾーンでは、外音が聞こえるほうが安心できる人がいます。逆に、期待や興味が高まっている“前向き”寄りの日には、軽く音楽を流しながら外の気配も感じられるほうが、気持ちの流れが整いやすいこともあります。
快適性と音質を両立させた「OpenFit 2+」の安定した使用感や、「音楽をアクセサリーに。」を合言葉とする「OpenDots ONE」の気軽で新しい音楽体験は、そうした「気持ちの揺れに寄り添う音」を考える選択肢になり得ます。
エモーションホイールで感情の位置を見つめ直しながら、音との接し方やそれをサポートするためのイヤホンを選ぶこと。そのひとつひとつのアクションに、私たちShokzは寄り添います。

5. まとめ:感情を知ることは、自分に合う「音との距離」を知ること
エモーションホイールは、自分の感情を細かく分析するためのものではなく、「今、自分はこのあたりにいるのかもしれない」と気づくための地図です。その地図を手がかりにしながら、音との距離感を選び直してみると、日常の過ごし方も少し変わってきます。
耳をふさぎたい日もあれば、開けておきたい日もある。静かな音がしっくりくる日もあれば、生活音と音楽をいっしょに受け取りたい日もあるでしょう。自分の感情の位置と、心地よい聴こえ方をゆるやかに結びつけておくことで、毎日の小さなストレスを和らげるヒントが見えてきます。
エモーションホイールで自分の気持ちをそっと見つめ直しながら、「今日はどんな音との距離が楽か」を選んでみる。そんな小さな工夫が、在宅時間や通勤時間を、少しだけ自分にやさしい時間に変えてくれるはずです。